アニメ映画「風立ちぬ」を見ました。数日前、宮崎駿監督の
引退発表がありましたが、それが理由ではありません。通称
「零戦」の設計者でもある堀越二郎を描いており、私自身も
エンジニアで、若い頃は技術者の心や生き方を求め西堀栄三郎、
本田宗一郎、堀越二郎などの小説やエッセイを読んでいたから
です。
試験飛行のため飛行機を牛に引かせての移動など、小説の場面
がいろいろ思い出されます。小説では飛行場は各務原(岐阜県)
だったと思います。またよい時代の万平を感じさせる避暑地の
場面など懐かしく描かれています。
自分の力ではどうしようもない時代でも、技術者としての志を
持ち、精一杯生きる、愛する人との時間を大切に、思い出を心
に積んで人生を価値あるものに高めてゆく。
美しい崇高な世界、でもまったく別なことも感じます。人が生
まれ持った運命のようなもの、社会もその延長で成り立ってい
ること。たぶん宮崎監督は自分が恵まれた境遇(裕福な)で作
品を作って来て、何か心にかかるものがず~っとあったのでは
あったのではないでしょうか?それを正直に出してみたかった
のかもしれません。
この映画はタイトルの「風立ちぬ」を堀辰雄の小説からもって
きており、技術者の堀越次郎の話しに堀達夫の小説のストーリ
ーをからめています。妻となる菜穂子の登場もここからです。
最後の最後、エンディングロールでユーミンの「飛行機雲」が
流れる凄い演出がありました。
わがままを言ってもこの作品が作りたかった監督の気持ちはわ
かる気がします。子供のためのアニメではなく大人の映画です。
いまの若い方は何を感じることができるでしょうか???。
コメントを残す